1.小田原市で起こった自治会の「消滅」
小田原市でも、ついに「自治会が消滅する」という前例のない事態が生じました。
これまで加入率の低下や自治会役員の高齢化が課題として取り上げられてきましたが、「消滅」が起こるのはまだ先だろうという希望的観測がありました。
しかし、わたしたちの暮らす小田原で現実に消滅が起きたことは、市民にとっても行政にとっても深刻な警鐘といえるでしょう。
2.市議会答弁と小田原市の姿勢
こうした状況について、先日の小田原市6月議会では「自治会の現状は危機的ではないか、市が管理すべきではないか」との一般質問が出ました。
しかし、市側の答弁は「危機的状況とは考えておらず、その状況を市が管理するべきものではない」というものでした。
確かに自治会はあくまで地域の任意団体であり、市が直接的に統制するものではありません。
それでも行政施策とのつながりは深く、市民生活に直結する役割を担っています。
日々の活動の人手不足や財政的な厳しさを抱える自治会としては、「危機ではない」という答弁が現場感覚とずれていることは否めません。
ここにこそ、オンブズマンとして市としっかり対峙していく必要があります。
3.デジタルも活用した自治会のあり方
一方で、行政を指摘するだけでは状況は改善しません。
任意団体である自治会をどう魅力的にし、暮らしを豊かにする場へ変えていけるのか?
そのために、市民自らが動くことも求められています。
その第一歩として考えられる手段の1つがデジタル化ではないでしょうか。
東京都では、自治会や町内会のデジタル化にかかる費用を全額助成する制度が始まりました。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20250825/1000121074.html
電子回覧板や会費のキャッシュレス化、SNSを活用した情報共有などを導入することで、自治会役員の負担は軽減され、若い世代にも参加しやすい環境が整います。
ただし、高齢者が取り残されないよう、紙の回覧板との併用や「スマホ教室」といった補完策を合わせて運用することも欠かせません。
小田原市でも、市民と行政が協働してこうした仕組みを積極的に取り入れていく必要
があります。
4.市民にも求められる主体性と協働の姿勢
小田原で自治会消滅が現実になったという事実は重いものです。
しかし、それを契機に「新しい自治会像」を模索できるのなら、全国に先駆けた取り組みとなり得ます。
行政だけに任せるのではなく、市民が自らの暮らしを守る意識を持ち、市と協働しながら再構築を進めていく。
その姿勢こそが、自治会を再生させ、市民の安心と満足を高める道筋になるはずです。
オンブズマンとしても議論を深め、市への提言につなげていきたいと思います。